◆稲葉真弓賞を西尾張地区高校の伝統に


 今年は母校の創立一一六周年に当たります。一一〇周年記念事業の柱は、学習室『興學館』の新設寄贈と、懸賞論文制度の設立でした。前者は、日頃の学習に大変重宝されています。後者は、「母校の新しい伝統を目指して」を目標に掲げて、暗中模索の出発でした。しかし、生徒さんの素晴らしい反応が私たちの不安をかき消してくれました。

 第一回の最優秀賞に輝いた佐屋高生の、レベルの高い作品に刺激されて、その後、津島・清林館・津島・清林館と両校生徒間での競い合いが続き、六回目の今年は、最優秀賞と優秀賞を津島東校生が獲得しました。同校は、2名の優秀賞誕生に輝いた昨年に続いての栄冠です。

 この二年、参加校も応募数も増えました。学校単位での取り組みが強化されてきた感触も受けます。「考えて、書く力を養ってほしい」との設立趣旨が、広く理解され、認められてきた証であろうと思っています。

 このように発展できた原動力は、素晴らしい作品の多さです。作品に反映されている生徒の姿から、逆に大人が、背筋を正さなければならない課題を突き付けられるような、それゆえ、多くの人にぜひ読んでいただきたい内容の作品がたくさん寄せられました。そこで、入賞作品を『別冊』にして、多くの方に配布できるようにしました。役員・審査員一同も大きく鼓舞され、「稲葉真弓賞」への発展が許されたことは、大変喜ばしいことです。願わくば、地区全体の高校のご協力をいただいて、稲葉真弓賞を「西尾張地区高校の新しい伝統」として発展させられるよう、多くの高校、生徒さんからの応募をお待ちしています。創立一二〇周年記念事業の中で、「母校の新しい伝統」から「西尾張地区高校の新しい伝統」への発展をお祝い出来たら素晴らしいですね。稲葉さんもきっと喜んで、末永く応援してくださることと思います。

 昨年開設した稲葉さんの遺品展示コーナーの活用をお勧めいたします。
稲葉さんは、高校入学と同時に、大学ノートにビッシリと短編や詩を書き始められました。遺品コーナーには約四十冊の大学ノートや、数々の表彰状などがあります。ご覧になれば、「稲葉真弓さん 文学の軌跡」の一端をご理解いただけ、きっと、力強いエネルギーを得ていただけることと思います。多くの皆様の参観をお勧めいたします。また、参加対象校への貸し出し等も考えたいと思います。今年二月には、愛西市の新庁舎竣工を祝して、貸し出し展示会が行われました。

 この制度を支えていただいている協賛会社・後援会社のご厚意に厚く御礼申し上げます。さらに強固な支援体制つくりに向けて、幅広い同窓生の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。


平成28年7月1日 三稜会会長 横井 義一


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